副鼻腔炎の日帰り手術

副鼻腔炎の日帰り手術

副鼻腔炎の手術について

副鼻腔炎の手術について慢性副鼻腔炎は、近年の医療が発達したことで、内視鏡による日帰り手術で治すことが可能になっています。一昔前、副鼻腔炎は蓄膿症と呼ばれており、その手術は歯肉を切開し、骨を削って副鼻腔を露呈させて行う大がかりなものでしたので、そのイメージを持っている患者さまはあまりにも楽に受けられることに驚かれます。
また、麻酔に関しても、局所麻酔だけでほとんど痛みなく手術を受けていただけるほど技術や手法が洗練されてきています。当院では、こうした高度で専門性が必要な麻酔を行える体制を整えていますので、ご不安がある方はご相談ください。

内視鏡下副鼻腔手術(ESS)

手術について 保存的治療を行っても、症状やCT所見が改善しない慢性副鼻腔炎に行われる手術で、内視鏡で詳細に観察しながら行います。
局所麻酔で行いますが、最初に麻酔薬を染み込ませたガーゼを鼻腔に挿入し、粘膜表面に麻酔が効いてきたら麻酔注射を行うため、チクッとする感触程度です。これで手術中の痛みはほとんどありません。
手術では、内視鏡を挿入して副鼻腔を覆う骨の壁や腫れた粘膜、膿をきれいに取り去ります。両側の手術を行ったとしても、約1時間で終了します。
手術終了後、鼻腔にガーゼを挿入し、4日〜1週間後に抜去します。術後の出血は軽度であり、徐々に少なくなって翌日にはほとんどの場合おさまります。術後は疼痛がありますが、お渡しした鎮静剤の服用で気にならない程度に抑えられます。なお、手術後の通院は、翌日、そして週1度程度、数週間程度と徐々に間を開けながら3ヶ月程度通っていただき、状態を確認する必要があります。

鼻茸切除

鼻茸は薬で完全に治すことができないので、大きさや症状により手術が必要になります。現在は局所麻酔で行う30分程度の簡単な内視鏡手術が可能になっており、鼻茸切除は日帰りで受けられます。ただし鼻茸はポリープですので、再度できることや、小さかったものが大きくなる可能性があり、再手術が必要になるケースもあります。
なお、鼻茸切除手術は、慢性副鼻腔炎などを治療するための手術ではないため、鼻茸切除を受けても慢性副鼻腔炎の治療は必要です。ただし、鼻茸切除と慢性副鼻腔炎の手術を同時に日帰りで受けることも可能です。
子どもの鼻茸に関しては、副鼻腔炎が併発して重い症状がある場合などを除いて切除手術が選択されることはまれです。これは手術に恐怖感がある場合、行うことが難しいのが大きな理由になっています。ですから、お子さまの性格などによって小学校低学年で手術を受けることができる場合もあります。
なお、鼻茸はがんとの因果関係がありませんが、ごくまれに腫瘍の一部として鼻茸ができている可能性があります。そこで、経過観察の場合も、組織を採取して生検を行います。

手術後の注意点

合併症について

日帰り手術でも、外科手術ですので合併症をゼロにすることはできません。あらかじめリスクについて患者さまがご存じであれば、万が一の際にも的確に判断し、最善の治療をスムーズに受けることができます。こうした合併症を起こさないよう日々研鑽を積んでいますが、必ず患者さまにはこうした合併症について事前にお知らせしています。

出血

炎症が強い場合や、腫瘍性の病変である場合、術中の出血はどうしても多くなりますが、こうした際にも出血を抑える手術器具を使うことで、出血が続くことはほとんどありません。ご注意いただきたいのは術後の出血です。手術中には麻酔などにより血管が収縮しているため出血が抑えられていますが、術後に血管が膨張して出血が起こる可能性があります。また、手術によって血流の変化が起こり、これまで血流の少なかった部分に大量の血液が流れてきて出血するケースもあると考えられています。

目の合併症

副鼻腔と目はとても近く、その間には非常に薄い骨の紙様板があって、これにより隔てられています。これに穴やひびができると、血液が目の周辺に入ってしまい、目の痛みや腫れ、周囲への皮下出血が起こる可能性があります。この紙様板に先天的に穴が開いているケースもまれですが存在します。目に流入する血液量が多い場合、眼圧が上がって視力低下が起こる場合があり、その際にはできるだけ早く手術を受ける必要があります。

頭蓋の合併症

副鼻腔は頭蓋とも近接しており、こちらもやはり薄い骨で隔てられています。手術によりこの骨に穴やひびが生じると、副鼻腔に頭蓋内の脊髄液が流入します。こうした際には手術中に穴やひびを閉鎖しますが、脊髄液の圧をコントロールし、頭蓋内の感染を防ぐために入院が必要になる場合があります。

感染

鼻腔内はもともと感染に強い構造を持っており、術後の感染はとてもまれですがゼロではありません。特に、ブドウ球菌から出る毒素を防御する抗体を持っていない方の場合、重症の感染症を起こす可能性があり、臓器障害につながる可能性もあります。

手術費用

副鼻腔炎の手術は保険適応です。

3割負担
内視鏡下鼻腔手術Ⅰ型 片側 23,820円
内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅱ型(単洞) 片側 36000円
内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅲ型(複洞)片側 74,730円
内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅳ型(全部の洞) 片側 96,240円

※症状の進行具合により料金に差があります。
※診察やお薬の処方代は別途かかります。

TOPへ戻る